PC-Transer活用法
対訳エディタの活用法
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 翻訳ソフトを使いこなす上で重要なのが「中間編集」です。これは、とりあえず訳文を出力した後で、構文解析に失敗している部分や不適切な訳語などを、訳文には直接手を入れずに対訳エディタの編集機能を使って修正し、できるだけ後編集しやすい文にしていく作業です。
 PC-Transerには「中間編集」に必要な機能はすべて備わっており、動作も非常に早いため作業中のストレスはほとんど感じません。また、V10には新たに「訳語挿入機能」が追加されました。どのような機能か、どのように使えばよいかも併せて見てまいりましょう。


●文の分割と結合

 「中間編集」で最も利用する機能が文分割です。翻訳ソフトは長い文章や構文の複雑な文章をうまく訳出できません。そこで、「後編集」することを前提として、意味のかたまりごとに文を分割して訳出することによって、使える訳文のフレーズを増やします。後編集では、それらの訳文のパーツをつなぎ合せて組み立てて行くことになります。

 PC-Transerでは、分割したいところにカーソルを置いて「Enter」キーを押します。結合する場合は結合される文の終わりにカーソルを置いて「Delete」キーを押すか、結合する文の先頭にカーソルを置いて「Back Space」キーを押します。要するにワープロと同じような操作です。

●「英和対応」と「訳語変更」「品詞変更」機能

 原文あるいは訳文の語句の上でダブルクリックすると原文とそれに対応する訳文が反転表示されます。これが「英和対応です」。この時、ウインドウの左下に品詞が表示されます。

 さらにクリックすると訳語一覧のウインドウが開きます。適当な訳語を選択してさらにダブルクリックすると訳語が置き換わります。この時、学習機能がオンになっていると、訳語が学習辞書に登録され、次からこの訳語が優先的に出力されます。また、適当な訳語がない時は、((辞書登録))をクリックして辞書登録画面を開き、ユーザ辞書に登録することができます。

<図1>訳語変更
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 その語句に複数の品詞がある場合、((品詞変更))が表示されます。これをクリックすると、品詞候補が表示されるので、適当なものを選択しダブルクリックすると変更された品詞をもとに再度構文解析され新しい訳文が出力されます。

 さて、これらの機能をうまく使うには手順が大切です。

(1)訳文をざっと眺めて訳語がおかしいと思ったら、すかさずダブルクリックしてください。原文と訳文の該当部分が反転し対応関係が一目でわかります。
(2)確かに訳語がおかしい場合は、さらにもう一回クリックします。訳語のリストが表示されるので適当なものがあればダブルクリックして置き換えます。
(3)訳語リストに適切なものがない場合は、そのまま下の方へスクロールして((辞書登録))からユーザ辞書に登録します。
(4)「英和対応」した時に、明らかに品詞の解析が間違っていることに気づいたら、さらにクリックして訳語リストを開き、下の方へスクロールして、((品詞変更))から適切な品詞に変更します。

 このように、マウス片手に訳語の変更をしていくのが「中間編集」の第一歩です。PC-Transerは訳語の数が大変多いので、辞書登録しなくてもほとんど訳語変更だけで済んでしまいます。

●フレーズ指定とフレーズ種別

 さて、翻訳ソフトがよく間違うのは、フレーズの範囲や係り受けの解析です。その場合はフレーズ指定を行います。操作は簡単です。マウスでフレーズの範囲を指定し、フレーズ・ボタンをクリックするだけです。自動的に指定されたフレーズをもとに構文解析をやり直し、再翻訳してくれます。フレーズ指定した部分が、原文、訳文とも同様に反転表示されます。。

<図2>フレーズ指定
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 フレーズの係り受けが間違ってる場合には、「フレーズ種別」の機能を使って、フレーズの品詞を指定することでうまく訂正できることがあります。名詞を修飾させたい場合は「形容詞句」、前の名詞を修飾する場合は「後置形容詞句」、動詞の修飾は「副詞句」というように指定します。

<図3>フレーズ種別
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 翻訳ソフトがうまく訳出できない部分を人間が補ってやることで、かなり正確な訳文を得ることができます。しかも、ほとんどがマウス操作だけで行うことができます。一次出力の訳文を苦労して書き直すよりも、「中間編集」で訳文を整えてから一気に後編集する方がはるかに楽に作業できます。翻訳ソフトを使いこなす上で最も重要なプロセスと言えます。
 ここで紹介した機能はトップレベルの翻訳ソフトであればほとんど装備されているはずです。逆にいうと、これらの機能が無いと、翻訳実務で使用しづらいということになります。


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