参加者の声 「星の王子さま/サン=テグジュぺリ」 赤松輝美さん

新訳『星の王子さま』の翻訳ワークショップ(Trans Publishing Workshop) に
参加した 赤松輝美さんをご紹介します。

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編集部:
はじめにプロフィールと最近の活動についてお聞かせください。

赤松:
フランス語との出会いは大学の第二外国語でした。フランス語を通して、次第にフランス社会やフランス文化に興味を持つようになりました。自分のフランス語力を確かめるためにたまたま受けた通訳案内士試験のおかげで、現在はフランス語圏から来日する観光客の皆さんに日本を紹介するガイドの仕事をしています。また、ワイン産業が縁で、フランスの色々な都市と姉妹都市になっている自治体が多い山梨県に住んでいるので、自治体の姉妹都市交流のための通訳、翻訳の仕事にも携わっています。

編集部:
通訳案内士の資格をお持ちなのですね! 経験のある通訳案内士は数が少ないので、赤松さんのようなベテランガイドは引く手あまただと、案内士の友人に聞いたことがあります~。観光のガイドだけではなく、地元の山梨で通訳や翻訳のお仕事に携わり活躍なさっているのは、素晴らしいですね。その赤松さんが、翻訳を学び、翻訳家を目指そうと思ったきっかけを、それぞれ教えてくださいますか?

赤松:
翻訳には以前から興味を持っていました。文芸関係の評論や特に日本人とはだいぶ違うフランス人の生活様式・メンタリティーなどを扱ったエッセーなどは機会があったら翻訳してみたいと思っていました。また友人にフランス人の画家で絵本作家がいるので、彼女の絵本もぜひ日本で紹介したいと考えています。ただ、具体的に一冊の書物を翻訳するとなるとなかなか難しく、翻訳の講座を受けたこともありますが、そのテクニックを習得するのにかなりの努力と経験が必要だと感じていました。

編集部:
では、赤松さんは以前から出版翻訳にご興味をお持ちだったのですね。フランスの生活様式やメンタリティーを扱ったエッセーや絵本ですか~。面白そうですね! 仰る通り、最初から一人で一冊を翻訳することは大変な労力を要するとお察しします。まずは「経験を積みたい」ということで、共訳から始められる方もいらっしゃいますが、弊社の共訳ワークショップではプロの監訳者がつきますので、初めてのご参加でも安心して、学びながら翻訳出版することができます。
翻訳を学ぶことに関して、いろいろお考えをお持ちの赤松さんが、今回、新訳『星の王子さま』を出版されたのは、どんな理由や思いがあったのでしょうか。

赤松:
「星の王子さま」を翻訳で最初に読んだのは中学生の時でした。サン=テグジュペリの魅力的なデッサンと内藤濯氏のシンプルですが格調高い文章で 一気に読み終えました。ただ何かもう一歩解りきれていないという感じが残りました。今回監訳の片木先生のもとで、ほかの共訳者の皆様と一緒に翻訳する機会を与えられて、当時感じた疑問や一見単純そうに見えるこの物語が持っている意味をもう一度考えてみたいと思いました。

編集部:
なるほど。私も初めて読んだのは中学生の時ですが、哲学的で難解な印象しかありませんでした……。ですが、今回、改めて皆さんが訳された言葉を一語一語噛みしめて読みますと、普段忘れがちな、人生で大切なことを想い出されてくれる作品なのだと感じ、すーっと胸に入ってきました。
それでは、『星の王子さま』の内容を紹介していただき、翻訳された感想、楽しかったこと、苦労したことをお聞かせください。

赤松:
日本ではあまりにも有名な本なので、多くの方が物語の内容を知っているのではないでしょうか。
でも簡単に言うと、ある日サハラ砂漠に不時着したパイロットが不思議な少年に出会います。少年は小さな惑星に住む王子さまでした。薔薇との不和をきっかけに自分の星を後にし、いろいろな星に立ち寄り、いろいろな大人に出会ったのちに地球にたどり着いたのです。地球でヘビや狐に会い、絆を作ることの大切さや大切なものは目に見えないことを教わります。こうしてパイロットと王子さまは絆を結びますが、王子さまはパイロットを一人残して薔薇のいる星に帰っていきます。

編集部:
世界中で愛され読み継がれている、サン=テグジュペリの著名な作品ですね。

赤松:
まず片木先生からは物語や小説を翻訳するときの基本を教えていただきました。フランス語と日本語の構造的な違い、自然な日本語にするためのテクニックなど、どの分野の作品を翻訳するときも当てはまる大変有用なアドバイスでした。また共訳者の皆さんと一緒の作業だったことも有意義な経験でした。思いもよらない訳文や解釈に出会い、最後まで驚いたり感心したりしながら仕事ができました。

編集部:
一人での作業と違い、共同作業には人数が多いなりに語彙や表現の統一など大変なところも多いのですが、いろいろな方の意見を聴くことで、自分の考えがインスパイアされ、より良い訳文ができたりします。また、仰るように、監訳の先生からのアドバイスも大変有効です。そういった意味で共訳に参加されることは勉強にもなりますし、大変有意義なことだと思います。

続きを読む(Webマガジン「The Professional Translator」より)