- 一次出力
- 中間編集
- 後編集
- 対訳データーベース登録
- 長い文章の処理
- トレーニングの材料
原文を読み込んで「翻訳」ボタンを押すだけの作業です。(図1)
この例では問題ありませんが、ここでのポイントは、原文のスペルミスがないか一文が正しく認識されているかを確認することです。スペルミスのため意味のわからない訳文が出力されることが案外多いのです。また、文の途中で分割されていては正しい訳文は得られません。
対訳エディタの編集機能を使って、不自然な訳語の変更や、ユーザー辞書登録、品詞変更、フレーズ指定などを行い訳文を整えます。
図2では訳語を変更しています。この時できるだけ訳文を直接修正しないでください。翻訳者の中には自分で訳したほうが早いなどと言って初めから訳文に手を入れる人がいますが、これではいつまでたっても翻訳ソフトを使いこなすことはできませんし、大幅な能率アップも期待できません。翻訳ソフトを使いこなすということは、中間編集が効率よくできるようになるということです。
訳文に手を入れて「翻訳文」に仕上げます。ただし、行き当たりばったりに修正してもなかなか能率は上がりません。できるだけ翻訳英文法の変換ルールに従って直して行きます。そうすれば、スピードがアップするとともに、全体のばらつきも少なくなります。
図3のような感じでやって見ましょう。
翻訳ソフトを利用すると、全体の作業行程の中でも後編集(リライト)の時間が多く取れるようになります。下訳レベルまではできるだけ早く済ませて、一番面白みのある訳文の推敲に時間をかけるために翻訳ソフトがあるのだとも言えます。
完成した訳文を対訳データーベースに登録します。このとき文型登録も行います。
(図4)
従来は、直接手を入れた訳文を翻訳ソフトで再翻訳させると修正前の訳文に戻ってしまい、後編集の労力を軽減できませんでした。つまり、後で同じ文章が出てきたときにも同じ修正を何度も繰り返さなければならなかったのです。
そのような翻訳ソフトの最大の欠点を補うために、最近では対訳データーベース機能を持ったソフトが相次いで出てきています。完全に一致した文の検索はもちろんのこと、文型登録機能を使うと、登録した訳文の中の変動要素だけ翻訳エンジンで変換して埋め込んでくれます(図5)。翻訳ソフトならではの機能で、実務で大変役に立ちます。
さて、一通りの流れをごく簡単な例で見てきましたが、今度はもう少し長い文章の処理の仕方を考えてみます。
翻訳ソフトのトレーニングに適した文書の一つにニュースの記事があります。翻訳ソフトの苦手な挿入句、分詞構文、関係代名詞などが多用されていますが、パターン化しているので、一度処理の仕方がわかれば比較的簡単に中間編集できます。また、何度も同じような修正を繰り返すことになりますので自然にコツがつかめます。
図6のように長い文章の場合は、文分割がもっとも簡単で効果的です。最初は無理に全体をまとめようとせず、フレーズ単位で使える訳文を作ることを考えてください。そして、これ以上中間編集ではどうにもならないところまできたら、文を繋ぎながら後編集します。完璧に仕上げるよりも、誤解の生じない下訳を作ることを心がけてください。また、できるだけ早く仕上げることも大切です。
今ではインターネットを利用すれば、新聞社のホームページから簡単に英文を手に入れることができます。例えば朝日新聞の英語ニュースのページでは、毎日約8,000語の記事が掲載されます。これを利用して、中間編集、後編集をやってみましょう。
一日三十分でもかまいません。とにかくしばらくの間続けることが大切です。三ヶ月位トレーニングすると、どの時点で後編集に移ればいいか感覚的にわかるようになります。つまり、デジタル処理とアナログ処理の使い分けが身についたということです。
ここまでくれば、十分に訳文作成の道具として使うことができます。どんどん翻訳ソフトを使ってみましょう。
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