翻訳ソフト実践ワークショップ
第2回 辞書機能 【演習】

Personal Dictionaryでの利用法

Personal Dictionary (PDIC for Windows)は、西川 貴博氏作の「英和辞書検索・登録ソフト」です。検索が高速で登録が容易なために、愛用している翻訳者も多いようです。ヘルプを見ると「PDIC for Win32は、一応シェアウェアです。気が向いたときにお支払い下さい。」と書いてあります。さらに「金額は1ユーザにつき一口\1,000です。」ということです。登録しなくても制限なしに試用できます。
ソフトウエアは以下のURLからダウンロードできます。

http://member.nifty.ne.jp/TaN/pdic-download.html

ここでは、PC-Transerのユーザ辞書ソースをPDICの辞書形式に変換して利用する方法を試して見ましょう。

PDIC辞書ソースの形式

PDICに一括で辞書登録するには先ず辞書ソースを用意する必要があります。
基本的な辞書ソースの形式は以下のようなPDICテキスト形式です。
英単語
日本語訳 / 用例
このように、英単語と日本語訳を一行おきに並べるだけですので大変簡単なのですが、大量に登録する時に空行が入ってしまうことが多いので注意が必要です。奇数の空行が入ると英単語と日本語訳が逆になって読み込まれてしまいます。

そこで、もっと確実な1行テキスト形式を採用することにします。
以下のように英単語と日本語訳が1行に記述されるので誤って空行が入っても問題ありません。
英単語 /// 日本語訳 / 用例

PC-Transerの辞書ソースをPDICの一行テキスト形式に変換

ユーザ辞書をOPT形式で書き出します。(図1)
品詞や活用の情報が付加されています。これをそのまま生かしたいと思います。
(図1)
「英単語(n,*):訳語」の「(」の前に「半角スペース+///+半角スペース」を挿入して「英単語 /// (n,*):訳語」という形式にするだけです。テキスト・エディタの検索・置換機能を使えば簡単に加工できます。ただ、ここで注意しなければならないのは訳語のうしろについている()です。標準の検索だと訳語の活用を表す「(」もヒットしてしまうので、ここでは、正規表現を使って、「英数字+(」を検索して「 /// (」に置換して見ます。

WZエディタを利用してみましょう。正規表現では英数字は「\w」です。また、「(」はグループ化を表す特殊な記号として使われます。通常の記号として扱う場合は\を前に付加します。「\w」を括弧に入れているのは、一旦文字列を記憶させて置換時に挿入させるためです。
置換の「$1」は記憶した1番目の文字列を挿入するということです。
最終的に、検索・置換のテキストボックスには以下のように入力します。(図2)
ここで「正規」にチェックを入れて「OK」ボタンをクリックします。
(図2)
検索・置換が完了したら、拡張子を「.txt」にして保存しましょう。(図3)
(図3)

PDICに一括登録

PDICの「Tools」メニューから「辞書の変換」をクリックします。(図4)
(図4)
「辞書の変換」画面が開きます。(図5)
転送元辞書のファイル形式で「1行テキスト形式」にチェックを入れ、「参照」ボタンをクリックして、先ほど作成した辞書ソースファイルを選択します。
次に転送先辞書ではファイル形式が「PDIC形式」になっていることを確認してから「参照」ボタンをクリックし、ファイル名を入力します。既存の辞書に追加する場合は追加したいファイルを選択します。
「同一単語の処理」というのは、同じ見出し語があった場合どのように処理するかということですが、ここでは「付け加える(区切り文字付)」にしておきます。
準備が出来たら「OK」ボタンをクリックして変換します。
(図5)
「辞書の新規作成」画面が開いたらそのまま「OK」ボタンをクリック。(図6)
(図6)
変換結果が表示されて変換が終了しました。(図7)
(図7)

辞書グループの新規作成

PDICで使用するためには辞書グループの新規作成を行う必要があります。

「File」メニューから「辞書グループ新規作成」をクリック。(図8)
(図8)
「辞書グループ新規作成」画面が開いたら、適当に「グループ名」を入力し、「辞書追加」ボタンをクリックして先ほど変換した辞書を選択します。
「使用辞書」のウインドウにファイル名が表示されたら「OK」ボタンをクリックして設定を終了します。(図9)
(図9)
早速、「WORD」欄に単語を入力して検索してみましょう。(図10)
同じ見出し語に複数の訳語が追加されているのがわかります。品詞情報をつけたままにしてあるので、利用価値が高まりました。また、他の辞書と組み合わせた場合でも、PC-Transerのユーザ辞書から変換した辞書であることがすぐにわかって便利です。

(図10)

PDICでは辞書の登録や編集が簡単に行えます。
PC-Transerから変換した辞書をPDICで編集して、もう一度「1行テキスト形式」に書き出し、さらに検索・置換によりPC-Transerの辞書ソースに変換してPC-Transerに一括登録する、というような使い方ができます。

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