すでにドイツ語の文法をひととおり学びおえた人が、その知識を翻訳にいかすにはどうしたらよいでしょうか。さらに、ある程度の速度で学習しなくてはならなかったために見落とされた事柄を補うにはどうしたらよいでしょうか。こうしたことを考え合わせながら、ドイツ語を他人のために日本語にしてつたえる技術を学ぶのが、この講座の目標です。翻訳独文法というタイトルがついているからといって、文法の学習が目的ではありません。あくまで補助手段であるべき文法が、主役になってしまうことがあってはなりません。文法を有効に生かして、しかも、できるだけのびやかに翻訳ができないものか、その可能性を一緒に考えてゆきましょう。翻訳とは、日本語の文章を書く作業にほかならないのですから、ドイツ語が分かりさえすればよいというわけにはいきません。よい訳をこころざす人は、よい日本語の文章をたくさん読んでおくことをこころがけるべきです。ドイツ語と日本語との比較研究をする気になって、学習を開始してくださることを期待しています。
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