PC-Transer活用法
翻訳メモリ機能の使い方
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翻訳ソフトの出力文を「翻訳」レベルにするためには後編集(リライト)が不可欠です。これまでは、何度も同じような修正を繰り返さなくてはならず、これが翻訳ソフトの最大の弱点となっていました。しかし、最近の翻訳ソフトには対訳データベース(翻訳メモリ)機能が装備されています。そのおかげで、一度完成させた訳文を原文とペアにして対訳データベースに登録しておいて再利用することが可能になりました。今回は、3月20日にリリースされたPC-Transer V10の翻訳メモリ機能を見てまいりましょう。(この講座も進行が遅く、ぐずぐずしている間にTranserのバージョンが上がってしまいました。)

 PC-Transer V9以前は「対訳データベース」となっていましたが、V10から対訳データベースの標準的な共通フォーマットである「TMX」形式に対応したので「翻訳メモリ」と名前を変えたようです。これでTradosなどのいわゆる翻訳メモリ・ツールやATLASなどの翻訳ソフトと翻訳メモリ・ファイルの共用ができるようになり、さらに活用の範囲が広がりました。

●翻訳メモリ画面

 さて、PC-Transer V10の翻訳メモリ機能は、対訳エディタから「翻訳メモリ画面」を呼び出して利用します。ツールバーから「翻訳メモリ」ボタンをクリックすると、対訳エディタのカーソル位置のセルにある原文と訳文が取り込まれて「翻訳メモリ画面」が開きます(図1)。

<図1>翻訳メモリ画面
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 この画面で、翻訳メモリの登録を行います。また、翻訳メモリの検索や一括辞書引きをしながら訳文を作成することもできます。翻訳メモリに関する設定は、ツールバーの「設定」ボタンをクリックすると表示される設定画面で行います(図2)。

<図2>翻訳メモリ設定画面
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 ここでは、検索オプションが表示されていますが、「数字と日付を自動的に置き換える」にチェックを入れておくと、例えばマニュアルの翻訳などで、製品のバージョンNo.だけが違っているセンテンスでは新しい番号に置き換えて出力してくれます。また、「検索範囲(速度)」で「広い(遅い)」方にスライドバーを合わせておくと類似文検索の際にマッチ率の低いセンテンスも表示されます。少しでもデータベースの訳文を参考にしたい場合には便利です。残念なのは、検索範囲指定に目盛りがついていないことです。マッチ率を数値で指定できればさらに実用的になるでしょう。この「設定」では、使用する翻訳メモリ・ファイルの指定、一括辞書引きの設定、登録情報の設定などもできます。


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