2. スタイル機能
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2. スタイル機能
翻訳ソフトを使う場合、デフォルトのまま訳文を出力してはいけません!
みなさんが翻訳するときのことを考えてみてください。少なくとも「ですます調」にするか「である調」にするかぐらいは決めてから訳し始めるはずです。プロの翻訳者なら、クライアントから支給されたスタイルブックに書かれた、こまごまとした規則を頭に叩き込んでからようやく翻訳開始となるのが普通です。翻訳ソフトで翻訳するときも、翻訳スタイルに関する設定は不可欠です。
翻訳スタジオ2007では、訳出の設定行い、その設定情報に名前を付けて登録できます。しかも登録されたスタイルをツールバーで簡単に切り替えることができます。
旧バージョンでも設定情報を保存する機能はありましたが、設定画面がわかりにくく、スタイルの切り替えも簡単にはできませんでした。ですから翻訳スタジオ2007の「スタイル機能」は新機能だと言えます。
翻訳の文体を考える上での大きな要素は、原文の「ジャンル」と「文書の種類」です。そのうち、文体に直接影響するのは「文書の種類」です。つまり、翻訳スタイルは契約書やマニュアルなどの「文書の種類」に応じて設定します。
●翻訳設定の項目
- 翻訳設定の項目を調べてみましょう。
メニューバーの「翻訳」→「翻訳設定」をクリック。「翻訳設定」画面が開いたら「翻訳」タブをクリックします。
【FLASH動画解説】(翻訳設定画面の表示)→studio2-1.swf(806)
- <訳出方法>
「大文字を小文字にして訳す」
強調などで全部大文字で書かれているような場合、これにチェックを入れる必要があります。
「長い文章を節・句ごとに区切って訳す」
長くて複雑な文が多い文書には有効ですが、区切り方が誤っていると「想定外」の訳文が出力されることがありますので要注意です。
「命令文を平叙文として訳す」
マニュアルの操作手順などには必須の項目です。修正しないでそのまま使える訳文が出力されることもかなりあります。
「ですます調で訳す」
「カタカナを「・」でつなぐ」
「固有名詞を英語のまま表示する」
この三つは翻訳の仕様に従って設定します。
「合成語を分割して訳す」
専門語や新語の多い文章の場合、合成語としての登録がなくても訳出できます。
- <訳の指定>
助動詞、接続詞、前置詞、冠詞、代名詞などの訳を指定できます。ただし、ここで指定すると訳が固定してしまうので、助動詞など文脈で訳し分けることが多いものは十分に注意する必要があります。
●翻訳スタイルのサンプル
翻訳スタジオ2007には、契約書、マニュアル、論文、ニュース、ビジネスレターのスタイルのサンプルが登録されています。
メニューバーの「翻訳」→「スタイル」をクリックするとスタイル画面が開きます。スタイル一覧から任意のスタイル名を選ぶと右側に設定内容が表示されます。
試しに「契約」スタイルの設定内容を見てみましょう。(設定してある部分を抜き出します)
- <訳出方法>
大文字を小文字にして訳す
カタカナを「・」でつなぐ
固有名詞を英語のまま表示する
- <訳の指定>
[助動詞]
"shall" = "〜ものとする"
"should" = "〜しなければならない"
その他のスタイルの設定もご自分で確認してください。
ここで気がつくと思いますが、サンプルのスタイルには辞書の設定がありません。「ジャンル」に応じて「専門語辞書」や「ユーザ辞書」を設定することで、翻訳対象文に対するスタイルの設定が完了します。
●スタイル設定の方法
新しい文書を翻訳するときはできるだけその文書専用のスタイルを設定して登録しましょう。文書ごとにスタイルを登録することにより、後でその続きの翻訳をすることになった場合でも簡単に設定を合わせることができます。
個別のスタイルを登録するには新規作成するのが最も望ましいのですが、最初から全部設定するのは面倒です。せっかく主なスタイルのサンプルがあるのですから「コピー」機能を使って楽をしましょう。
例えば、契約書の個別スタイルを登録するときは、スタイル画面を開いてから以下のようにします。
- サンプルの「契約」を選んで「コピー」ボタンをクリック
- 「契約のコピー」というスタイルができるので、選択して「変更」をクリック
- 翻訳設定画面が開いたら一番下のスタイル名を任意の名前に書き換える
- 翻訳設定を変更して「OK」ボタンをクリック
もちろん新規作成したスタイルも同じようにコピーして変更できます。
【FLASH動画解説(スタイルのコピー)】→studio2-2.swf(701)
●スタイル登録ファイルの管理方法
翻訳する文書ごとに登録してスタイルがどんどん増えていくと、ツールバーの一覧から選ぶのも一苦労になります。
そんなときは、とりあえず使わないものをはずしておきましょう。
英日翻訳のスタイル登録ファイルは、デフォルトでインストールした場合は、「マイ ドキュメント」→「CrossLanguage」→「PC」→「EJ」→「style」フォルダの中にあります。
「.ini」という拡張子のついたファイルを別のフォルダに移動すればスタイルの一覧に表示されなくなります。
また、誤ってサンプルのスタイル登録ファイルを移動したり削除したりしても、次に翻訳スタジオを起動すると自動的に復元されるので安心です。
記事の内容は筆者自身のノウハウに基づいております。記事の内容によって万一損害を被ることがあっても一切責任を負いません。また、この記事の内容に関して発売元の株式会社クロスランゲージへの問い合わせはご遠慮ください。(小室誠一)
最終更新時間:2007年11月30日 10時12分39秒