7. ユーザ辞書と学習辞書(訳語変更)

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7. ユーザ辞書と学習辞書(訳語変更)

ユーザーがカスタマイズできる辞書はユーザー辞書と学習辞書です。
よくユーザー辞書と学習辞書をどう使い分けたら良いかという質問を受けます。確かに、使用目的によって使い分ける必要があるのですが、よくわかっていない人が多いようです。

●ユーザー辞書と学習辞書の使い分け

ユーザー辞書と学習辞書の使い分けを考えるには、どのような目的で翻訳ソフトを使うのかをはっきりさせておく必要があります。極端に2つに分けると以下のようになります。もちろんこの中間のような場合もあるでしょう。

  • (1)商品としての翻訳文を作成するのであれば、ユーザー辞書中心
  • (2)斜め読み用の使い捨て翻訳文を作成するのであれば、学習辞書中心

「翻訳設定」の「辞書」設定画面で「学習辞書を使用する」→「学習する」にチェックを入れておけば、訳語変更するだけで「学習辞書」に登録されますので、とにかく速くて簡単です。特に、PC-Transerは選択できる訳語の数が多いので、訳語変更だけでほとんど間に合ってしまいます。素早くそれなりに意味の通じる訳文を得るには大変強力な機能です。

ただし、学習辞書はユーザー辞書より優先されます。つまり、指定訳語をユーザー辞書に登録して翻訳しても、同じ語句が学習辞書にあれば指定訳語がヒットしないということになります。しかも、学習辞書は一覧表示できないので、一旦翻訳して一つずつ訳語対応しないと、学習しているかどうか確認できません。

したがって、厳密に訳語の統一が必要な文書の翻訳では、安易な学習辞書の使用は避けるべきでしょう。使用する場合は、どの語句を学習したか記録するぐらいの慎重さが必要です。

商品としての翻訳文を作成する場合には、とにかくユーザー辞書に登録することをお勧めします。一次出力で良好な訳文が得られても、ユーザー辞書に登録するまでは訳語は確定されません。ユーザー辞書のフォントを目立つ色に変えておきましょう。筆者は「赤」にしています。一次出力文を見ながら、不適切な訳文があればどんどんユーザー辞書に登録して行きます。できるだけ単語ではなく大きなフレーズを登録するのがコツです。そして、訳文がほとんど赤文字になったところで訳文に直接手を入れて行きます。訳語を確定する前に訳文のリライトを始めると、訳語の統一が不十分になり効率が悪くなります。

●ユーザー辞書の詳細登録

さて、ユーザー辞書に登録して行くうちに、どうもうまく訳出されないと感じることがあると思います。

例えば、「compare=比較する(動詞)」でユーザー辞書登録して以下の英文を訳してみます。

  • 「Compare expenditures to our budgets.」
  • 「我々の予算に支出を比較してください。」

compareとtoの連語情報が反映されていないので不自然な訳文になります。

実は、基本語辞書には、「…を(〜と)比較する < compare … (to〜)>」と詳細情報が記述されており、以下のように正しく訳出されます。

  • 「支出を我々の予算と比較してください。」

訳語変更するときに、訳語リストにこのような詳細情報が記述されていれば、そのまま適用されますので、簡単に正しい訳文を得ることができます。ですから、場合によっては訳語変更(学習辞書)を使用するのも良いでしょう。

ただ、それはあくまでも時間がないときにやむを得ずということにしておいてください。
PC-Transerの強力な詳細辞書登録機能を使えば、ほとんどの語法情報をユーザー辞書に書き込むことができるからです。上記のような連語情報なら、リストから選択したり、チェックボックスをクリックしたりするだけで、難なく記述できます。

詳細登録をしたことのない人は、とにかく辞書登録画面で「詳細登録」ボタンをクリックしてみてください。そして、「パターン」のプルダウンメニューを見ていただくと、びっくりするはずです。品詞を「動詞」にすると、ほとんどの文型情報を指定できます。あらためてPC-Transerのユーザー辞書機能の素晴らしさを認識されることと思います。


記事の内容は筆者自身のノウハウに基づいております。記事の内容によって万一損害を被ることがあっても一切責任を負いません。また、この記事の内容に関して発売元の株式会社クロスランゲージへの問い合わせはご遠慮ください。(小室誠一)

最終更新時間:2007年11月30日 10時56分14秒